【ユタ州モアブ】Fisher Towers(2024/5/6)
<目次>
エリア概要・駐車場など
アメリカユタ州モアブにあり、アーチーズ国立公園やキャニオンランズ国立公園のご近所。
ソルトレイクシティから車でハイウェイとばして4時間。
<その他情報>
・駐車場:登山口付近に10台以上とめられる(お手洗いもあり)
・行程:登山口7:30→取付き8:30→終了点12:30→登山口14:00(6時間30分)
・難易度:5.10 A0
トレイルの軌跡
事前に「All Trails」アプリで地図ダウンロードし、当日はヤマレコと同時起動しながら歩きました。
アメリカは国立公園や郊外では電波がすぐ入らなくなることがあるため、GoogleMapやAllTrailsでルートを事前にダウンロードしておくのがおすすめです。
ルートについて
(Moutain Projectより)
フィッシャー・タワーズで最も人気のあるルートで、中級のクラシックルート。5.8 A0で登ることもできるし、5.10でフリークライミングすることもできる。
●P1:簡単な5.4のブロークンロックを登り、巨大な岩棚へ。このルートをフリーで登る場合は、ロープの引きずりを避けるためにここでビレイ。ボルト4本のラダーを登り、チムニーの基部にある大きなビレイ・レッジへ。(5.10、40m)
●P2:5.8のチムニーを30mほど登り、右のビレイ点に至る。
●P3:短い急なクラックを登り、3ボルトのラダーへ。5.7 A0 または 5.10、12m。
●P4:このエリアで最もCOOLなピッチの1つ。狭く露出したリッジに沿って6m歩く。ダイビングボードにマントルし、コークスクリューの基部まで歩く。頂上へのルートで4本のボルト/ドリルアングルをクリップ。
最後は同ルート下降。パーティー・レッジまで懸垂下降し、ダブル・ロープ(60m)で地上に降りる。
※このルートを70mロープで懸垂下降することも可能だが、登攀パーティーの迷惑となり危険なのでお勧めしない。
クライミングの記録
<前日>
近くのキャニオンランズ国立公園で遊んでからモアブへ移動。モアブにあるスーパーで翌日の朝食や行動食を購入し、近くにある比較的安いモーテルに泊まりました。($130+tax)
モーテルには、シャワー、シャンプー類、トイレ、ダブルベッド×2、冷蔵庫、電子レンジなどがあり、家族連れで遠出する際の宿泊地としても重宝できそうです。(知り合いは炊飯器を持参し、米を炊いたりして食費を節約しているらしい)
▼今回泊まったモーテル「Silver Sage INN」
ちなみにモアブには、ブルワリーやメキシカン、ステーキ、ハンバーガーなど、さまざまな飲食店があります。「Pagan」という登山用品店にはお宝セール品もあって、見ているだけでも楽しかったです。
※モアブから少し西にあるグリーンリバーまで行けば格段に安い宿もありますが、フィッシャータワーズまで車で1時間かかって翌朝がしんどくなるため、今回はモアブにとどまりました。
<当日 モアブから移動>
モアブを5:30に出発し、6:15頃に駐車場へ到着。近くのキャンプサイトに3組ほど宿泊していましたが、クライマーと思われる先行隊はおらず一番乗り!駐車場から尖塔を確認できる!
しかし、寒くて寒くて車外に出られず、7:00まで待機することに。
当日の気候は、曇り時々晴れ。体感風速5m/s、気温15℃くらい。ビレイ中に日が陰ると寒かったです。
<アプローチ>
日が出て少し寒さが和らいできたので、準備を済ませて7:40頃に出発。
トレイルの道なりに歩いていきます。
振り向くと、日に照らされる台地状の岩と青空。広大な大地を感じます。
近づいてきた奇形の尖塔。このスケールに圧倒されそうです。
下から見上げた「Stolen Chimney」の全景。最下部からの登攀も面白そうだけど、怖さのほうが勝ってしまう。
<取付きに到着>
ゆっくり1時間ほど歩いて、取り付きに到着。登攀ラインを確認します。
<1ピッチ目 5.10+ 40m /リード:ゆ>
下部の大きな岩群ではカムを1つ使用し、弱点をよじ登って棚状で一息。
5.10セクションはボルトが4つあり、わずかに出ている石をつまんだり、フリクションを効かせたクライミング。
1ピン目から2ピン目に向かう段階で、カム1セットを装着した状態では太刀打ちできないと感じ、その場にギアホルダーごと置いてフォローに回収してきてもらうことに。
半年以上ぶりの外岩&マルチなのもあり思いのほか苦戦してしまったが、モジモジしながらもオンサイトで抜けられて本当にホッとしました。
カム一式を回収して、フォローで登ってくる相方。遥か下に、我々がデポした青いザックが見えます。
ビレイポイントはこんな感じ。
<2ピッチ目 5.8 30m/リード:け>
チムニーをぐいぐい登る面白いパート。カム4~5個+ナッツ1個使用。
足も手も豊富で程よい幅のため非常に快適で、1ピッチ目ですり減らしたメンタルを回復させる癒しの時間でした。
フォローで登っているときに撮影した写真。
ビレイポイントはこんな感じ。
<3ピッチ目 5.10 12m/リード:ゆ>
ボルト3つで距離は短い。が、3ピンが見た目より悪くてこれまた苦戦。自分の岩慣れ不足が否めない。。
オレンジをゼロピンに取ってスタート。3ピン目をとった後、ムーブを試行錯誤。。なんとか突破し、上部にあるビレイポイントへ。
ここで尖塔が目の前に現れて感動した!!
<4ピッチ目 5.8 /リード:け>
このマルチのハイライト、ついに「盗まれた煙突」ルートの先端にやってきました。最初のリッジ状は馬乗りでじわじわ進行。
サーフボードに飛び乗るのは怖いため、下をトラバースすることに。(私はトップロープ状態で飛び乗りを試みたけど足がすくんでしまったw)
ボルトは2か所あり、1個目をかけてから左上するのが5.9、右上するのが5.8だそう。今回は右から登ることにしましたが、前日の雨により、乗っ越すのに使う大事なガバホールドがタプタプの水たまりに。後続もいるので時間をかけるのも申し訳なく、エイドを選択。
(このあたりで追いついてきた仏シャモニー出身の後続3人パーティはフリーで登った模様・・・。水たまりは関係なかったらしい。。)
そしてついに、ついに、フィッシャータワーズの岩頭へ!!
いつ折れてもおかしくないような魅惑の奇形の先端に立つことができた喜びと達成感に浸ります。
先端には1人ずつしか行けないので、トップロープにしてもらって私もトップへ。
やっほーい!
上から見た、4ピッチ目のビレイポイント。
ここで後続パーティから「取付きに置いてあるザックを、黒い鳥がツンツンしてたよ。中身を持っていったかはわからないけど^^」と報告を受けました。
<下降>
4ピッチ目のビレイポイントから3ピッチ目のビレイポイントまでいったん懸垂下降。そこから2ピッチ目のビレイポイントまで懸垂下降し、最後は1ピッチ分だけ懸垂下降。
後続パーティも同ルート下降してきました。
そして真っ先に、残置していたザックを確認。黒い鳥にツンツンされていたらしいザックは無傷で、行動食も荒らされていなくて良かったです。
そして往路と同じルートを戻り、駐車場へついたのは午後2時でした。
感想
前年、映画「LIFE is CLIMBING ライフ イズ クライミング!」で見て、いつか行きたいなと気になっていた真っ赤な砂岩の尖塔の「盗まれた煙突」ルート。
実際に登ってみると、5.10セクションは安心感のある手掛かりが少なく、やや神経を使うクライミングで、なんとかOSできてとてもホッとしました。楽しくスイスイ進むチムニー部分との差が激しい。それもまたこのルートの醍醐味なのかな。ピリリとするシーンはあったものの、とにかくこの壮大な風景のなかで奇形の岩壁を登攀していくのは面白くて気持ちがよかったです。
にしても、ここを全盲のクライマーが登ったとは感服の一言に尽きますね...。
フェースのクライミング力を上げて、もっと色んな課題を楽しんでいきたいと思う。がんばろうー!
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